コラム
役員は社員ではない?!~会社役員の選出について
2023.06.20会社を設立する際には多くのやるべきことが山積しますが、役員の選任についても最重要事項として慎重に進めなければなりません。役員は会社の運営において非常に重要な役割を果たします。そのため、起業を考えている方は役員に関する知識を深める必要があります。この記事では、会社の役員の定義や選任の方法について説明し、また一般社員が役員になる手順や役員になり得ない人の特徴についても紹介します。
まず、役員について具体的な定義や選任方法について詳しく見ていきましょう。
役員の意味
一般的に役員と聞くと、上位の立場にいる人々を指すイメージがあるかもしれません。実際、役員は会社の経営方針の策定や業務の監督など、重要な責任を負う経営幹部のことを指します。日本の「会社法」によれば、取締役、会計参与、監査役の立場にある人を役員として定義づけています。
取締役は、会社を運営する上で重要な意思決定や経営方針の決定を行う人物です。取締役会が設置されていない会社では最低1人以上の取締役が必要であり、取締役会が設置されている場合は最低3人以上の取締役が必要です。会社設立時は発起人が取締役を決めますが、その後は株主総会による選任が行われます。
会計参与は、重要な会計書類や貸借対照表などを作成する役職です。会計参与になるためには、税理士・税理士法人・公認会計士・監査法人の資格が必要です。これらの資格を持たない一般の人は会計参与になることはできません。
監査役は、取締役が業務を公正に執行しているかどうかを監査する立場にあります。
また、社員は会社と雇用契約を交わしており、一方役員の方は委任契約を結んでいます。その為、一般的な認識とは異なり、役員は社員ではありません。役員は会社と雇用契約を交わしている社員とは異なる雇用形態なのです。したがって、社員が役員になる場合は退職手続きが必要です。
一般社員を役員にする流れ
一般社員が役員になるためには、まず会社を退職し、改めて役員として就任する必要があります。先ほども述べたように、役員は社員ではないためです。退職手続きを完了し、退職金の支払いも行ったら、雇用保険からの脱退手続きも行う必要があります。具体的には、「雇用保険被保険者資格喪失届」を記入し、ハローワークに提出します。ただし、使用人兼務役員である場合は雇用保険から外れる必要はありません。
また、重要なのは法人登記の定款を確認することです。役員に任命される人の名前を登記し、必要に応じて定款に記載されている役員数などを変更する必要があります。一般社員から役員になる際には待遇が大きく変わることにも注意が必要です。
役員になれない人の特徴
すべての人が役員になれるわけではありません。以下に役員になれない人の特徴をいくつか紹介します。
① 法人:株式会社や合名会社など、法人自体は役員になることはできません。ただし、会社の設立に必要な手続きを行う発起人としてはなることができます。
② 成年後見人または被保佐人:成年後見人は、判断能力が低下している認知症や知的障害・精神障害などの人をサポートする役割を果たす人を指します。被保佐人は家庭裁判所によって保佐人の支援が必要と判断された人です。これらの人々は役員になることができません。
③ 法律違反をした人:会社法、中間法人法、証券取引法、民事再生法、外国等三処理手続の承認援助に関する法律、会社更生法、破産法に違反し、刑の執行が終了してからまだ2年経っていない人は役員になることができません。
④ その他の罪を犯して執行を終えていない人:上記に挙げた法律以外の罪で、禁錮以上の刑に処せられており、執行が終わるまでの人も役員になれません。ただし、執行猶予中の場合は除外されます。
まとめ
今回は、役員の定義や一般社員から役員になる流れ、役員になれない人の特徴について紹介しました。
役員は会社の経営方針や利益などに大きな影響を与える立場であり、慎重な選考が求められます。